「自然のエステ」
2010年03月18日
どっしりと構えた大木は、いつも季節の流行に敏感。
春は、花を咲かせて。
風に吹かれてパラパラパラ。
雨に濡れたら、すぐに痛む。
ああ、ピンクの髪色にしてから、すぐに、髪の毛痛んじまうよ。
毎日軽く吹く風と、温かい日差しにカラーリングをしてもらうことにした。
ピンクの髪の毛が、緑の髪の毛に。
こんどは、とっても丈夫だった。
雨が降っても、水は弾くし。
風が降っても、めったなことでは、動かない。
栄養が、葉っぱに行き届いているのだ。
日差しが最近眩しくて。
蝉やカブトムシなどの昆虫のアクセサリーが流行の季節。
蝉たちは、おのおのの歌声で自己主張。
この蝉がいい。いやーあの蝉だ。と、木たちの話題は、蝉で持ちきり。
蝉のヒットチャートなどもつくられた。
どっしり構えた大木には、ヒットチャートの常連の蝉たちがよくやってきた。
しかし、しばらくして。蝉たちの姿は消えた。
日差しも優しくなっていく。
すっかり涼しさに安心した木たち。
でも、あの日の日差しや、蝉やカブトムシたちをジャラジャラつけていた後遺症で。
緑の髪の毛は、赤や黄色に変色してしまった。
今の季節は、それがお洒落。
風に弱くすぐにパラパラ落ちる。
赤や黄色の髪の毛は、やがて、木たちを暖める毛布となった。
風がどんどん冷たくなっていく。
髪の毛は、なくなった。
ポツポツ。雪が降った。
白い雪が積もった。
それは、カツラです。
でも、そのカツラは重く。
枝がパキパキっと、下に落ちていく。
痛いのを我慢する季節。
尖ったとうめいの宝石をびっしり大木はつけた。
地面にいるのに、飛んでいるみたいだった。
雪は、木たちにとっては、我慢は必要だけれど、美しくなるためにひつようなファッションだった。
雪がやんで、鳥が唄を唄いだしたころ。
枝のよこにちょこんと。
ああ、どうか、雨にも風にも耐えておくれと願いながら。
春を待つ。

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