「花が一輪」
2010年02月15日
「ああ。」
花屋の日課。
毎日沢山の水やり。
腰をトントンしながら、花屋のはなえさんは、店に並ぶ一輪、一輪に水をあげていきました。
花びらは、水を弾き、ぷるるんと、雫を落としました。
ぴしゃん。
花屋のハナエさんは、しばらくしてあくびをしました。
じょうろ片手に。のんびりと。
日差しが、キラキラ。
空を見ると鳥が飛んでいる。
目眩がするほど、眩しい朝で。
ハナエさん。
一輪一輪、水はやってはいるし、愛情を与えているつもりで。
でも、どこか退屈だった。
アルバイトは募集しているものの。
「あはは、免許もってないです。」
と宅配の出来ない人間が多かったので。
断ってばかり。
ハナエさんは、自分が免許を持っていなかったので、免許をもっている人間を求めていた。
優しい人が多いけれど。
みんな、へらへら。
なあにこの人とハナエは思っていた。
花屋のアルバイトは、心が広くならないと。
不採用と冷たく言うと。
「あなたは心が狭い。」
と、アルバイトの面接に来た人に怒鳴られたことがあった。
ハナエは、しくしく泣いた。
泣きながら、花を一輪一輪、研究していく。
腐りかけた部分を見つけては、切り取り。
枯れた部分を切り取り。
またいけていく。
そうすると、心が洗われる気がした。

ドアのベルが鳴る。
そうすると、お客様が入ってくる。
「誕生日に。あ、この薔薇がいいです。赤と黄色とピンク。」
薔薇には、棘がある。
でも、とっても魅力的。
相手を傷つけてはいけない。
なので、ハナエさん。棘を切っていく。
途中、指を怪我した。
赤い血がでてきた。
自分の血がついた花束を相手に渡すのは失礼なので。
ハンカチで拭いて。
ちゃんと、棘を落として。
「お待たせしました。」
ハナエさんは、花屋だけれど、はなことばを知らない。
「綺麗ですね。これの花言葉。なんていうんですか?」
「んー。」
「ああ、分かりました自分で調べます。そのほうが理解できますもんね。彼女にあげたいんです。」
ハナエさんは、被害妄想かもしれないけれど。
はなことばも知らない花屋なんてという心の声が読み取れた。

薔薇の棘を落とすと気持ちいい。
でも、薔薇のことなんにも分かってない。
けれど、好き。

「すみません。アルバイト募集の紙を見てきましたー。」
元気で活発な女の子。
「えっと、車の免許は?」
「原付なら乗れますー。」
また、免許もってないのか。なんだかガサツそうだし。と思ったけれど。
「採用します。明日から来てください。」
はなえさんは、にっこり笑ってこう言った。
こころのこえは、こう言った。

分からないけど、この女の子のことを知りたい。

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