「羊と回る」
2010年01月21日
森の中歩いた。
頭の中、クラクラしながらあるいた。
目が回った。
とっても眠いんだけれど、眠れない。
むしろ、森の中を永遠に回っていたい。
そんな衝動がある。
私は、いつから、この森にいるのだろう。
男は思った。
土の湿った匂いがした。
嗅覚で、それを感じる。
近くに湧き水があった。
男は、なんども手のひらに水をすくっては飲み、すくっては飲んだ。
湧き水は、こぽぽと音をたてて流れた。
顔をあらってみた。
一瞬、ひやっとして、目が冴えた。
でも、頭がクラクラするのは治らない。
頭を抱えて、森の中を歩く。
ミシミシ・・・ミシミシ。
地面の音。
足がとっても痒い。
森の中なのに、生き物の気配がどこにもなく。
私は、独ぼっちだ。
そもそも、なぜ、森の中にいるのかを考えた。
ああ、そうだ。
私は、この森の崖を探している。
でも、果てを感じることができない。
どこへ行っても、深緑の木々が周りを囲んだ。
広場のような場所があって、そっと、覗いた。
綺麗な女の人がいた。
フルートのような縦笛を吹いているが音はない。
目をこすって見つめ直すと、それは、人間そっくりな彫刻だった。
周りを見渡した。
綺麗な女の人はたくさんいた。
様々な楽器を持って奏でている。
でも、それは彫刻なので、音はない。
男の頭痛はさらに増した。
男は、久しぶりに会える人間に喜びを感じ、彫刻を抱きしめた。
ひんやり冷たく。
彼女の抱えてる楽器が、男の腕を傷つけた。
男は、眠った。

日が差し込み、男は起きた。
地面に大の字になって寝ていた。
女の彫刻に振り払われたかのように。
男は、広場を抜け出した。

夜とは違う森の姿があった。
今度は、目眩がした。
頭を抱えて歩いた。
もはや、周りなんて見えていなかった。
しばらくして。
足もとが一瞬浮いて、男は落下した。
目的の崖にたどり着いたのだ。
ドシンという音がした。
身体中が痛む。
でも、男は生きていた。

太陽の日差しが気持ちいいのと、周りは、優しい雑草の生えている空間。
男は安心してスヤスヤ眠った。

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