「暖かいスープ」
2009年12月17日
曇り空の空の下。
人々は大忙し。
「今日は雨が降るらしい。」
そういうテレビの天気予報で、まばらに人は傘を持っている。
ポツ・・・・・ポツ・・・・・・・・・・。
雫が落ちた。
一つ、二つ。
「おや、小降りの雨かな。」
一人が言った。
「勘弁してくれよ。雨なんて。」
しばらくして、ポツポツがざあざあに変化する。
「わわわ、服と皮膚がくつつく。」
「会議の書類が!」
ざあざあ降り続ける雨に、人々の声は、消える。
しばらくして、街のコンビニがプカプカと。
会社のほうも、ぶくぶくと。
人々が持っていた傘は沈み。
人々は、あがく。
呑み込まれてなるものかと。
でも、体力のない人は、しばらくして、くたっとなって、沈んだ。
体力のある人も限界が近かった。
雨は降る。ざあざあざあざあ。
人々は、やがて、水温を感じてきた。
この雨は冷たいものではない。
手も足も柔らかく。
息も自在に吐いたり吸ったり深くて広い水の中で。
バタ足で、進んで見る。富士山もピラミッドも、アンコールワットも。
みんな、この場所に存在している。
ライオンも、シマウマも、海の生物も鳥も。
いっぱい混じっていて。
水温はさらに温かく感じた。
雨が降ることによって出来たこの水たまりを飲み込んでみた。
塩の味、排気ガスの味、汗の味。
おせじにも美味しいとは言えない味だった。
太陽が、この水たまりを蒸発させるまで、人々は、ここで生きる。

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