「坂道」
2009年10月31日
この大きな坂道を超えると何があるだろう。
自転車で、下ってくる人は高スピードで。
おばあちゃんは、杖をつきながら、ひいひいと上って行く。
あまりに長い坂道なので途中で休憩をとる人もいる。
「みんななさけねえの。オレなら、ダッシュで、上りきるぜ。」
と、いきった男は、途中で、つまずいて転げて骨折。
救急車を、呼んだ。
「はあ、またここか。ここ多いんだよ。怪我する人。ごくたまにだけど、死ぬこともあるからなあ。
なんか看板でもだして注意をうながしてほしいよ。」
隊員がそうぼやいた。
救急車は、サイレンを鳴らしながら、坂道の上の向こうへ。
車だと、あんなにやすやすと坂道の向こうへ行けるのか。

「じゃんけーんぽん。」
「やったー。おまえ、みんなの荷物もて。このおばけ坂あがりきるまでな。」
「えー」
小学生の集団は、スキップしながら坂道をかけていく。
全員分のランドセルを持った小学生はゼイゼイいいながら。
ゆっくりゆっくり歩いて行く。
ランドセルも人のものだから、むやみやたらに、落とせない。
気を使いながら。ゆっくりゆっくり。
やがて、荷物持ってた小学生は坂を上り終わると、ちゃんと、下校仲間は待っていた。
「おっせー。」
「つかれるわ。はやくじゃんけん。」
「わかったわかった。」
声だけが聞こえた。とっても楽しそうだった。

「おまえさん。いつも坂をみてるね。」
おじいさんが話しかけてくる。
「坂の上を見てみたいんです。」
「なら、のぼればいいじゃろう。坂は急だが、落ち着いて登れば怪我はしまい。」
おじいさんはゆっくり坂をのぼり始めた。

のぼれることは、分かってはいるけれど、今日も、坂をのぼることができなかった。
他の人がのぼるのをただ眺めて、ぼーっと立っている。
夕暮れは、
なんだか、坂道に太陽が飲み込まれているようにも見えた。

明日もきっとこの坂道を眺めにいくと思う。
のぼるかどうかは、まだ分からない。

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