「まんまる」
2009年10月29日
トントントントン。
ノックの音。
うるさいな。
まんまるの身体から、無数の針が飛び出した。
ゴロゴロゴロゴロ暴れたので、
布団も枕も穴が空いてグジャグジャ。
綿もでてきた。
本棚の本もビリビリ。
本棚ごと豪快に倒して、1ページ1ベージ丸めて踏みつけるよ。
スタンドの豆電球も身体の針で潰してやった。
電気が少し身体に走った。
ビリビリビリ

ゴニョゴニョゴニョゴニョ
誰かの小言。
ジリジリジリ。
目覚まし時計の音。

くるなくるなくるなくるな。
みるなみるなみるなみるな。

まんまるだった身体は、今や無数の針で支配されていて。
もうすでに、自分の部屋にあるものはすべて壊れてしまった。

ノックの音からとっても小さな声がした。

「大丈夫だよ。」

おそるおそる。
にょっと手をドアノブにそえた。

ギィギィギィ・・・ギギギギ。
ドアの外は真っ白。
渦をまいたでんでんむしがいた。
「綺麗な花みつけたから届けにきたよ。はい。」
花束を受け取った。
ノソノソと湿った足跡を残して去って行くでんでん虫。

でんでん虫の触れた花の茎の部分も湿っていた。
綺麗な花は、輝くオレンジ色の百合だった。

ギィ。ドアを閉めた。
花瓶に花を飾って。
針と糸を通して、セロハンテープを活用して。
外に買い物に行った。

こうして、ぼくは、再び、まんまるになった。

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