「ガムの痕跡」
2009年10月28日
「げ。」
通勤途中にガムを踏んだ。
正直、アレを踏むよりたちが悪い。
なぜなら、噛みたて、吐きたてホッカホッカのガムだから。
しばらくあるいていても足もとに違和感。
靴をこする。
少ししかとれない。

いいやたいしたことない。靴の下のガムなんて。
会社に突入。
後輩を発見した。
あいさつをする。
「おはようございます。今日、木下さん。フルーティーな香りしますね。香水ですか。」
「まあ、そんなこと。」
なんの匂いだろう。
ホッカホカのガムの匂い。というのにしばらくして気がついた。
匂いもついているのか。

木下の仕事、データー入力。
集中さえしていればガムのことなんて忘れるだろうと思った。
「木下、コピー。」
「木下、シュレッダーかけてきて。」
なんでこんな日によって歩く仕事が。

シュレッダーをかけている間、立っている。
足を上げて見た。
ネッバァと、ガムが伸びた。
ベロンベロンで、
でも、糸が切れたりしない感じの丈夫なゴム。
足をおろした。
すこし靴をこすった。
するとどうだろう。足が少し楽になった。
シュレッダーの作業は終わった。

足がラクになったので、床についたガムの置き土産に気にせず。
軽やかに歩いて仕事場に。

家に帰って靴のうらをみる。まだ少しだけガムは生きている。
木下はブラシで磨いて。
ガムを消した。
あー解放された。木下は思った。

次の日、職場。朝礼。
「えー昨日、シュレッダーの近くにガムの吐いたあとがみつかった。
社会人の最低限のルールとして、会社でガムを吐くのは辞めていただきたい。以上!」
道で吐く人のがあっとう的におおいよ。
同僚が話しかけてくる。
「そのガム、私踏んでさ。」
ビクっと、木下は震えた。
「でも、固まっていたからすぐにとれたよ。ものさしでペラっと。」
ああそうか、ホッカホッカではなくなってたんだな。

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